今週はナラティブ(ヴ)アプローチをやるので、説明が面倒なところを整理しておきます。以下、常体メモ。
前回の記事はこちら↓
socialworkwakariyasuiwa.hatenablog.jp
社会構成主義
ポストモダニズム下で生まれた思想。自然科学の基本的な価値を問い直し、人や社会は認識の中に存在していると考えた。
社会構成主義の考え方
社会構成主義の基本は3つのポイントで理解できる。
- 自然科学だけを正しいとする考え方(自然科学主義)の限界を知る
- 社会(現実世界)は人々の認識によって構成されるというアイディアを理解する
- コミュニケーションやナラティブの重要性に気付く
社会構成主義からの問い①:物事は科学だけで全て説明できるか?(自然科学主義の限界)
自然科学は客観性・再現可能性が高い=信頼できる・妥当であると判断する。客観性・再現可能性が高い法則が理論として積み上げられていく。
自然科学の価値が目指しているのは、“誰でも、何度やっても同じ結果が出る”理論。
→背景にあるのは? 「不変の真理が存在する」という信念
「不変の真理が存在する」という信念に基づく自然科学よって20世紀の発展は支えられてきた。しかし、それだけで人や社会の在り方まで説明できる?
・人の内的世界、社会の中に存在する言説などは自然科学の価値によってはうまく説明できない。(誰でも、どこでも、何度やっても正しい・同じ結果にならないことを科学で説明するのは無理)
・科学は便利で役に立つが、それだけでは十分でない。一回性、個別性の高い人や社会の在り方を説明可能な新しい理論が必要(それが社会構成主義です!ということ)
社会構成主義からの問い②:人や社会の在り方をどのように説明できるか?(社会構成という考え方)
人や社会はどのようにして存在しているか?を考えよう。
問題:「自分は他の人とは違う存在であり、今ここにいる」と証明してください
・客観的事実を積み上げる(科学的手法)方法では、「個性のある私がここにいる」とは証明できない。自分に関する客観的なデータの集まりを足したもの≠自分である。
・自分の考え(内面世界)を言語化する方法は、「私は他の人とは違う存在である」と証明できる。しかし、自分の考えを全て言語化することは不可能。内面世界のデータ化は無理。
でも、人々は「自分は他の人とは違う存在であり、今ここにいる」と信じて生きることができる。なぜか?
→「あなたは他の人とは違う存在であり、今ここにいる」と認識してくれる他者が存在しているから。自分の考えの一部を他者と交換しあうことで、互いに「あなたは個性的な人物であり、ここにいるね」と証明しあっている。人が一人では生きていけない所以。
社会構成:
人は自分一人では自分の存在を証明することができない(非常に困難である)。しかし、他者とコミュニケーションをとることで、互いに存在を証明できる。人は科学的事実によっては本質的には存在できず、他者とのコミュニケーションによってはじめて存在できる。→人は他者とのコミュニケーションを通して、自分が存在している現実を構成している。
社会も人と同じように客観的事実だけでは存在できない。建物(資本)の集まり≠社会。しかし、多くの人々が社会の存在を「ある」と認識することで存在できる。
人々の認識が重なり合って「ある」とされた事実や言説によって、現実社会が構成されている。=社会構成
社会構成主義からの問い③:人や社会が存在するために最も大事なことは何か?(コミュニケーションとナラティブの重要性)
人や社会は人々の認識によって構成されているのだから、認識するための手段やツールは科学と同じくらい重要。→コミュニケーションとナラティブの価値を再確認しよう!
現実(人や社会)が構成されるプロセス=コミュニケーションによってナラティブを交換し合う
これからはコミュニケーションとナラティブが重要だよね!というのを社会構成主義は言いたい。
・ナラティブ:=物語、物語る。社会構成主義の重要概念。
①人は物事を認識するために、物語(ナラティブ)を使っている。物語には他の人が作った物語(社会全体で共有されている言説)もあれば、自分が作った物語もある。
②物語(ナラティブ)は便利だが、自分を縛る弊害もある。自分の人生や生活実態に合わない言説を参照してしまうと、問題を含んだ物語を信じ、問題解決ができなくなってしまう。
③物語(ナラティブ)は作り直すことができる。問題がある物語を作り替えることで、問題を起こらない状況を作ることができる。
→これを活用して、心理療法(ナラティブセラピー)が開発された。
参考文献